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「どうぞ、よろしくお願い致します。」
そう告げてから、風は深々と頭を下げる。
「こちらこそ、よろしくお願いしますね。立ち話もなんだから、座って、座って。それで、曲は決めてきたの?」
にこにこと愛想の言い事務員は、此処を訪れた風を最初に案内してくれた女性で、個人的にリサイタルなど開いた事もない風に、親切丁寧に説明をしてくれた。
ホールの大きさ、時間…全てがわからない事だらけだった風のチンプンカンプンな話を我慢強く聞いてアドバイスをしてくれた。やってみようと、そう風に決心させてくれたのは、この事務員の力だと言っても良い。
彼女に即されて、事務室の中にあるソファーに腰を下ろす。脇に抱えていた鞄の中から、楽譜を二冊取りだした。
「あの、これと…これを。どうでしょうか?」
緊張に固くなった風に、彼女は笑顔を返す。そして、一冊手に取り、曲名を読み上げた。『私もこの曲大好きなの』そう風に告げてから、風が差し出したもうひとつの楽譜には、小首を傾げる。
「これは…余り聞かない曲名ね。」
「想い出の曲ですわ、私の。」
風は指先でそっと表紙に触れた。
あの、別れが近付いていた日。セフィーロの、フェリオと戦う運命が待ち受けていた日、弾いていた曲。
そして夜が明けた時、自分は大切な一歩を踏み出していた。これは、そんな曲だ。
「大切な方に聞かせたい貴方にはピッタリの曲ね。」
女性の言葉に、風は瞠目した。さっと染まっていく頬に彼女が笑顔を増すのがわかって、ことさら風は恥ずかしくなる。
「あ、あの私、そんな事を申し上げましたでしょうか?」
それでも、女性が告げる言葉に間違いはなく、冷静さを取り戻したいと言う願いに反して、風の顔は真っ赤になっていた。
あの、その…と言葉もおぼつかない風に、女性は嬉しそうに微笑んだ。
「あらあら、いいわね。若い子は可愛らしくて。」
クスリと笑い、女性は俯いてしまった風の頭をポンポンと叩いた。
「長い事働いてるから何となくわかるのよ。大勢の人に聞いてもらいたくて来る人と大事な人に捧げたくて来る人。雰囲気とかやっぱり違うのよ。
ああ、だったら、その人には特別に招待状を出さなくちゃねぇ。サンプルもあるんだけど、手書きっていうのも捨てがたいのよ。心、籠もっている感じするじゃない?」
風の事を気づかってくれる言葉に、しかし返答出来なかった。
一番聞いて欲しい相手は、誰よりも遠くにいる人間で。連絡など取れようはずもなく、招待状を送る事など叶わない。
テーブルに置いていた風の手がキュッと握りしめられた事で、彼女は何かを悟ったようだった。少しだけ眉を八の字にしてから、黙り込んでしまった風に話し掛ける。
「連絡、出来ない相手なのね。」
コクリと風は小さく頷いた。異世界の人間だなどと言えようはずもない。けれども、事情について彼女は深く聞くつもりはないようだった。
「残念ね。」
困った顔でただ告げられる。
ホールでリサイタルを開こうと思い立ったのは、ただ居ても立ってもいられなかったから。演奏の事で、フェリオに対して八つ当たりをしてしまったのだから、ただ彼の耳に止まってくれればいいと思った。自分の力で、演奏出来るのだと、そう伝えたい。
連絡が、たとえば電話が繋がるのなら、言葉で伝える。手紙が届くのなら、幾つも手紙を書いた。でも、全ては叶わない願いでしかない。
謝ろうと思ったところで、自分には為す術もなく。全ての手段を失った様に思えた時、風の中に残っていたのは、演奏することだったのだ。
何の為に演奏するのか、そんな問いに、此処まで明確な答えが出る事自体が初めてで、風自身でさえ戸惑った。ピアノは好き。演奏することも好きだった。だから、頑張ってこれた。この事に間違いはない。
でも、自分の想いを伝えたい。音階だの、技術だのそんな物を何処かに置き去りしたってかまわない。誰かに聞いて欲しいとそう願ったのは初めてだった。
そう告げてから、風は深々と頭を下げる。
「こちらこそ、よろしくお願いしますね。立ち話もなんだから、座って、座って。それで、曲は決めてきたの?」
にこにこと愛想の言い事務員は、此処を訪れた風を最初に案内してくれた女性で、個人的にリサイタルなど開いた事もない風に、親切丁寧に説明をしてくれた。
ホールの大きさ、時間…全てがわからない事だらけだった風のチンプンカンプンな話を我慢強く聞いてアドバイスをしてくれた。やってみようと、そう風に決心させてくれたのは、この事務員の力だと言っても良い。
彼女に即されて、事務室の中にあるソファーに腰を下ろす。脇に抱えていた鞄の中から、楽譜を二冊取りだした。
「あの、これと…これを。どうでしょうか?」
緊張に固くなった風に、彼女は笑顔を返す。そして、一冊手に取り、曲名を読み上げた。『私もこの曲大好きなの』そう風に告げてから、風が差し出したもうひとつの楽譜には、小首を傾げる。
「これは…余り聞かない曲名ね。」
「想い出の曲ですわ、私の。」
風は指先でそっと表紙に触れた。
あの、別れが近付いていた日。セフィーロの、フェリオと戦う運命が待ち受けていた日、弾いていた曲。
そして夜が明けた時、自分は大切な一歩を踏み出していた。これは、そんな曲だ。
「大切な方に聞かせたい貴方にはピッタリの曲ね。」
女性の言葉に、風は瞠目した。さっと染まっていく頬に彼女が笑顔を増すのがわかって、ことさら風は恥ずかしくなる。
「あ、あの私、そんな事を申し上げましたでしょうか?」
それでも、女性が告げる言葉に間違いはなく、冷静さを取り戻したいと言う願いに反して、風の顔は真っ赤になっていた。
あの、その…と言葉もおぼつかない風に、女性は嬉しそうに微笑んだ。
「あらあら、いいわね。若い子は可愛らしくて。」
クスリと笑い、女性は俯いてしまった風の頭をポンポンと叩いた。
「長い事働いてるから何となくわかるのよ。大勢の人に聞いてもらいたくて来る人と大事な人に捧げたくて来る人。雰囲気とかやっぱり違うのよ。
ああ、だったら、その人には特別に招待状を出さなくちゃねぇ。サンプルもあるんだけど、手書きっていうのも捨てがたいのよ。心、籠もっている感じするじゃない?」
風の事を気づかってくれる言葉に、しかし返答出来なかった。
一番聞いて欲しい相手は、誰よりも遠くにいる人間で。連絡など取れようはずもなく、招待状を送る事など叶わない。
テーブルに置いていた風の手がキュッと握りしめられた事で、彼女は何かを悟ったようだった。少しだけ眉を八の字にしてから、黙り込んでしまった風に話し掛ける。
「連絡、出来ない相手なのね。」
コクリと風は小さく頷いた。異世界の人間だなどと言えようはずもない。けれども、事情について彼女は深く聞くつもりはないようだった。
「残念ね。」
困った顔でただ告げられる。
ホールでリサイタルを開こうと思い立ったのは、ただ居ても立ってもいられなかったから。演奏の事で、フェリオに対して八つ当たりをしてしまったのだから、ただ彼の耳に止まってくれればいいと思った。自分の力で、演奏出来るのだと、そう伝えたい。
連絡が、たとえば電話が繋がるのなら、言葉で伝える。手紙が届くのなら、幾つも手紙を書いた。でも、全ては叶わない願いでしかない。
謝ろうと思ったところで、自分には為す術もなく。全ての手段を失った様に思えた時、風の中に残っていたのは、演奏することだったのだ。
何の為に演奏するのか、そんな問いに、此処まで明確な答えが出る事自体が初めてで、風自身でさえ戸惑った。ピアノは好き。演奏することも好きだった。だから、頑張ってこれた。この事に間違いはない。
でも、自分の想いを伝えたい。音階だの、技術だのそんな物を何処かに置き去りしたってかまわない。誰かに聞いて欲しいとそう願ったのは初めてだった。
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案の定、グダグダになりましたが終わりました。
まぁ、酔っ払いの集団なので人の話を聞いてない、聞いてない(笑
気がかりがひとつなくなりました。
でもしょっぱなの仕事からミスが発覚で、はははです。
取り合えず、今日は寝ます。
まぁ、酔っ払いの集団なので人の話を聞いてない、聞いてない(笑
気がかりがひとつなくなりました。
でもしょっぱなの仕事からミスが発覚で、はははです。
取り合えず、今日は寝ます。
まるで更新停止したような状態で申し訳ありません。
え~と、今やってることは以下の通り。
・ガイピオのラストスパート
・明日の新年会司会練習
画面見ながら読み上げないといけないんですが、噛みまくりです(滝汗
人の名前とか、何回読んでも口がまわらない。
例)正 せいじさん→誤 れいじさん
別人になってるやないかい!? 声優さんて、凄い職業です。
口篭ってる間に、画面がどんどん流れていっちゃうんで余計緊張して、顎が動かなくな…る。うう。
とにかく、練習、練習。
ここから下はお返事になります。
サイレント拍手頂いてる方もありがとうございます。
閉鎖等についてコメントを頂いた方で、サイト等をお持ちの方には個別にお返事させて頂きました。
本当にありがとうございます。
↓
↓
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え~と、今やってることは以下の通り。
・ガイピオのラストスパート
・明日の新年会司会練習
画面見ながら読み上げないといけないんですが、噛みまくりです(滝汗
人の名前とか、何回読んでも口がまわらない。
例)正 せいじさん→誤 れいじさん
別人になってるやないかい!? 声優さんて、凄い職業です。
口篭ってる間に、画面がどんどん流れていっちゃうんで余計緊張して、顎が動かなくな…る。うう。
とにかく、練習、練習。
ここから下はお返事になります。
サイレント拍手頂いてる方もありがとうございます。
閉鎖等についてコメントを頂いた方で、サイト等をお持ちの方には個別にお返事させて頂きました。
本当にありがとうございます。
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↓
…案の定風邪を引いて寝込んでました。
年寄りは、寒い時期に寒いところへ行ってはいけませんね。
年頭のご挨拶は今日までで明日から平常運転に戻したいと思ってたので、今日はいちにち寝込んでます(苦笑
葛根湯を温めたものが美味しいと感じるあたり、いちゃってるかもしれません。喉を温かい液体が通り過ぎると凄く気持ちいいです。快感…。
あ、今後についてメッセージありがとうございました。
個別にお返事をさせて頂きたいと思っておりますので、もう暫くお待ち下さい。温かい御言葉胸に滲みます。
この惨状なので、やっぱりねぇ~と思ってる方も多いんだろうなぁと思っております(笑
年寄りは、寒い時期に寒いところへ行ってはいけませんね。
年頭のご挨拶は今日までで明日から平常運転に戻したいと思ってたので、今日はいちにち寝込んでます(苦笑
葛根湯を温めたものが美味しいと感じるあたり、いちゃってるかもしれません。喉を温かい液体が通り過ぎると凄く気持ちいいです。快感…。
あ、今後についてメッセージありがとうございました。
個別にお返事をさせて頂きたいと思っておりますので、もう暫くお待ち下さい。温かい御言葉胸に滲みます。
この惨状なので、やっぱりねぇ~と思ってる方も多いんだろうなぁと思っております(笑